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「自分が本当に向き合いたい仕事は何か」。科学大医学部生・後藤直人さんがカイカイキキでインターンを続ける理由

「自分が本当に向き合いたい仕事は何か」。科学大医学部生・後藤直人さんがカイカイキキでインターンを続ける理由

東京科学大学医学部2年生でありながら、アーティスト・村上隆氏が率いるカイカイキキでインターンを続ける後藤直人さん。

医学部生と聞けば、多くの人が病院実習や研究に励む姿を思い浮かべるだろう。しかし後藤さんは、プログラミングを武器に、社内システムの改善やハッカソンの企画・運営など、IT領域のプロジェクトにも積極的に携わっている。

なぜ医学部生がアート企業でインターンをしているのか。そして、プログラミングに打ち込みながらも医学の道を選んだ理由とは何なのか。
今回は、後藤さんのこれまでの歩みと、カイカイキキでの挑戦について詳しく話を伺った。

「何か始めたい」から始まったプログラミング

後藤さんは神奈川県藤沢市の出身。湘南エリアで育ち、小学校までは地元の公立校へ通っていた。

「小学校に入るタイミングで横浜から藤沢に引っ越してきて、それからずっと藤沢ですね。」

小学4年生から中学受験のために塾へ通い、中高一貫の栄光学園へ進学。勉強は得意だった一方で、スポーツもそつなくこなすタイプだったという。

「勉強は基本ずっとできた方だったと思います。でも運動もそれなりにできて、リレーの選手だったりしました。習い事はあまりやっていなくて、友達と放課後にサッカーや野球をして遊んでいましたね。」

そんな後藤さんが人生を大きく変えるきっかけとなったのが、中学受験を終えた後だった。

「受験が終わって、『これから何をやろうかな』と考えた時に、特にずっと続けていたスポーツもなかったんです。それで、『これからはコンピューターができないとダメかな』と思って始めました。」

当時は「得意だから」始めたわけではない。

「小学校のパソコンの授業で、タイピングがものすごく速い子がいて。自分は家でもあまりパソコンを触っていなかったので全然できなかったんです。『自分はパソコンができないんだな』って少し悔しかったんですよね。」

「だから最初は得意意識なんて全くなくて、『できたらかっこいい』『自分もできるようになりたい』という気持ちでした。」

劣等感が、挑戦の原動力だった。

高校時代にはアプリ開発で全国へ

プログラミングを始めると、その面白さに夢中になった。

中学生の頃からアプリ開発に取り組み、高校では中高生向けアプリを制作。その作品がコンテストで評価され、全国規模の舞台へ進むことになる。

「中高生向けのアプリを作る大会で入賞しました。それがきっかけでテレビにも出演させてもらいました。」

出演したのはNHK Eテレの番組。

「高校3年生の時ですね。僕ともう一人の高校生が30分ぐらい特集してもらいました。」

当時から、「身近な困りごとをテクノロジーで解決する」という発想を大切にしていたという。

この経験を通じて、「プログラミングで社会に価値を届ける」という感覚を強く持つようになった。

東大を選んだ理由は「やりたいことを学べる環境」

高校卒業後は東京大学へ進学。

ただ、一般的な「東大だから」という理由だけではなかった。

「東大では進学選択という制度があって、1〜2年生の成績で進む学科が決まります。当時はコンピューター系の学科がすごく人気だったので、自分が本当にやりたい勉強ができるかという不安もありました。」
それでも東大を選んだ理由をこう語る。

「文系も理系もいて、いろいろな人が集まる環境が面白そうだなと思いました。」

実際に入学すると、想像を超える学生たちに出会った。
「本当にエンジンが違う人がいます。少し勉強しただけですごくできる人もいるし、それだけじゃなくリーダーシップまで持っている人もいる。『これはすごいな』と思いました。」

東大では、自分より優秀な人間と出会うことが当たり前になる。

その経験が、自分自身の将来をより真剣に考えるきっかけになった。

「何を仕事にするか」を考える習慣

話を聞いていて印象的だったのは、後藤さんが常に「自分は何をやりたいのか」を考え続けていることだ。

その価値観は家庭環境の影響が大きいという。

「両親とも医師なんですけど、本当に自分の仕事にプライドを持って向き合っていました。」

「大人って人生の多くの時間を仕事に使うじゃないですか。だから、自分がその仕事に真摯に向き合えるかって、その人が人生を楽しめるかどうかにすごく関わると思うんです。」

幼い頃からそんな両親の姿を見てきたからこそ、

「自分も、自分がやることそのものに意味を持たせたい。」

そんな価値観が自然と身についていったという。

プログラミングから医学部へ

プログラミングを続け、そのままエンジニアとして生きていく未来も十分に考えていた。

実際、エンジニアとしてインターンにも参加し、学科の勉強にも真剣に取り組んでいた。

しかし大学生活の中で、もう一度「医療」という仕事と向き合うことになる。

「本当にこの道で生きていくのかは、ずっと考えていました。」

そんな中で改めて感じたのが、医療という仕事の魅力だった。

「実家の状況もあったり、自分自身が医療にすごく共感できるようになってきたんです。『医師って本当に素晴らしい仕事だな』と思えるようになりました。」
もちろん、それまで積み重ねてきたITの知識も無駄にはならない。

「今まで勉強してきたことも活かせると思いましたし、進路を変えることがリスクではなく、すごく面白い挑戦だと思えたんです。」

現在は東京科学大学医学部2年生。
卒業後はまず臨床医として経験を積みたいと考えている。

「まずは患者さんを一人で診られる力を身につけたい。そのためにしっかり臨床を経験したいと思っています。」

カイカイキキで始まったITインターン

そんな後藤さんがカイカイキキでインターンを始めたのは、ITチームの一員としてだった。

「最初は僕を含めて3人でITチームとして入りました。ただ、その時点では決まった仕事があったわけではありません。」

社内で課題を探しながら動く中で任されたのが、中野ブロードウェイ内の店舗で利用するシステム改善だった。

「大学の課題とは全然違いました。」

「実際の現場のシステムなので、何年も使われてきたデータがあって、全部がきれいに整理されているわけじゃないんです。その現場ならではの難しさをすごく感じました。」

実際に新しいバックアップシステムを構築し、現在も現場で運用されている。

学生にとっては、授業では決して経験できない実践だった。

ハッカソンをゼロから作る

システム開発の次に任されたのが、ハッカソンの企画だった。

きっかけは、「学生が集まるイベントをやりたい」という社内の声だった。

「僕たちが『ハッカソンというイベントがあります』と話したら、『やろう、やろう』という話になって。」

「正直、最初は本当にやるとは思っていませんでした。」

しかし気付けば会議が始まり、本格的なプロジェクトとして動き出した。

準備期間は約3か月。

参加者募集、スポンサー対応、サイト制作、当日運営など、すべてを学生中心で進めていく。

最終的には約40名、15チームが参加するイベントとなり、初開催としては大成功を収めた。

一番大変だったのは「応募が来ない」

華やかな成功の裏側には、数え切れない苦労があった。

「最初の応募期間1週間で、1チームしか申し込みが来なかったんです。」

「そこは結構焦りました。」

さらに医学部の試験とも重なり、

「最後の方はテスト勉強もしながらで、本当に大変でした。」

メンバー全員が忙しく、予定が合わない。

「3人で集まれるのが夜12時からしかなくて、深夜にミーティングしていました。」

LINEの通知は鳴り続け、毎日何かしら対応が発生する。
そんな日々を乗り越えたからこそ、イベント終了後には大きな達成感があった。

「一番気持ちよかったのは、終わった次の日からLINEに追われなくなったことです(笑)。」

会場では参加者からも高い満足度の声が寄せられ、自分たちの苦労が報われた瞬間だった。

「提供する側」に立って初めて見えた景色

後藤さんが今回のインターンで最も学んだことは、「イベントを作る側」の責任だった。

「学生って、基本的には誰かが準備してくれたイベントに参加する立場なんですよね。」

「でも今回は、自分たちが準備して参加者へ価値を届ける側になりました。」
さらに、それは個人ではなく「会社」として開催するイベントだった。

「会社の名前を背負ってイベントをやることの重さや、どれだけ準備を徹底するかという基準を実感できました。」

そこには社員だけでなく、多くの関係者が関わっている。
「学生だけでは絶対に経験できないことだったと思います。」

なぜ医学部生がカイカイキキで挑戦し続けるのか

医師を目指しながら、ITにも関わり続ける。
一見すると遠回りにも見えるキャリアだが、後藤さんの中では一本につながっている。

「今までやってきたプログラミングも、これから医療で必ず活きると思っています。」
医療とIT。

二つを知っているからこそ見える課題があり、自分だからできることがある。
だからこそ、カイカイキキという現場で実践を積み続けている。

最後に、これからカイカイキキでインターンを考えている学生へのメッセージをお願いした。

「独特な会社ではあると思います。でも、村上さんをはじめ、本当に面白い経歴を持った方ばかりです。」

「普通の学生生活では経験できないことに挑戦できますし、自分から飛び込めば、本当にいろいろなチャンスがあります。」

その言葉には、自ら挑戦し続けてきた後藤さんだからこその重みがあった自分が本当に向き合える仕事を探し続ける

インタビューを通して感じたのは、後藤さんは「プログラミングが好き」「医学が好き」という単純な話ではなく、「自分が人生をかけて向き合える仕事は何か」を常に考え続けている人だということだった。

中学受験を終えて始めたプログラミング。
全国で評価されたアプリ開発。
東京大学で出会った優秀な仲間たち。
医学部への進学。

そしてカイカイキキでの実践的なインターン。

一見すると異なる経験のように見えるが、その根底には一つの軸がある。

「自分が意味を感じられる仕事を、自分の意思で選び続ける。」

その姿勢こそが、後藤直人さんという人を形作っている最大の魅力なのだと感じた。